在宅医療連合学会 in 長崎 シンポジウム開催報告

このたび、在宅医療連合学会 in 長崎にて、私たち「かぞくのがっこう」発のシンポジウムを開催いたしました。 冒頭、座長より「かぞくのがっこう」の概要説明とともに、「なぜ今、バウンダリーなのか?」というテーマ設定に至った背景をお話ししました。
医療・介護・家族支援の現場において、支援者と家族、あるいは家族間の関係性における境界線(バウンダリー)の問題が複雑化するなか、その重要性が改めて問われていることが、今回のシンポジウム開催の動機となりました。
シンポジウムの前半では、富岡が「バウンダリーという考え方」について基礎的な説明を行い、参加者に共通理解の土台を提供しました。
その後、2つの事例報告を通して、現場での具体的なバウンダリーの課題を共有しました。

まず、佐藤典子さんより、自身の経験をもとに、義母の介護、離職、家族内での葛藤をふり返り、それらをバウンダリーの視点で見直した際に浮かび上がってきた気づきについて報告がありました。 続いて、松村直人さんからは、実母の入院・手術に加え、自身のまわりで同時多発的に起こっていた様々な出来事を紹介いただき、特に医療者との関わりにおいて感じたバウンダリーの問題提起がなされました。 最後に、株崎雅子さんが2つの事例を振り返りながら、支援者がバウンダリーを理解し、気づくことの大切さ、そしてそれがこれからの新しいパートナーシップ形成につながるというメッセージを伝え、シンポジウムを締めくくりました。

会場からは多職種(看護師・医師など)による活発な質疑応答があり、「怒りをぶつけられた際の対応」「共依存関係にあるケース」「家族対応に疲弊するスタッフへの支援や教育」「バウンダリーをあえて緩める方法」など、実践的で深い問いが多数寄せられました。参加者との対話を通じて、バウンダリーという視点の広がりと可能性を実感する貴重な時間となりました。

(堤 真紀)

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