【出前授業】神戸市立本庄小学校
去る2024年9月18日、神戸市立本庄小学校で5年生・6年生の児童240名に出前授業を実施いたしました。 「『別に・・。どーでもいい』という反応が目立ち、本音が言えない」「うざい、死ね、といった単語のみで、自分の感情を上手に伝えられない」そんな子供たちの現状を耳にすることが多くなったように思います。

子どもたちが他でもない自分の感情や考えに耳を澄ませて大切にすると同時に、相手の感情や考えも尊重し、適切な方法で自己表現する力をどのように高めるのか、意見が異なる場合にも、互いに納得できる方法を見出していくコミュニケーション力をどう熟成していくのかを主眼に、本プログラムを開発しました。
本授業は、2020年、文部科学省より告示された新学習指導要領「生きる力」を育む教育に準拠したものであり、特に「豊かな人間性」を高めることに主軸を置いて開発しました。

授業目標
今回、5年生には、「バウンダリーについて知ろう」というテーマで、6年生には、「感情(気持ち)の付き合い方」というテーマで授業を実施しました。それぞれの授業の目標は、次のとおりです。
■5年生:バウンダリーについて知ろう
バウンダリーについて知り、お互いのバウンダリーを尊重するための基本的なルールとコミュニケーションについて学ぶ
■6年生:感情(気持ち)のつき合い方
自分のなかにはさまざまな感情があることに気づく。また感情と身体に関連について学び穏やかな感情を保つ工夫について知る。また自分の感情は、相手に影響を与え、特に怒りは連鎖していくことを学ぶ。
実施状況(5年生)
まず、架空の5年生、ファミさん、リレさんの2人のバウンダリーにまつわる人間関係の悩みを子どもたちに提示し、同じ悩みを感じたことがあるかどうか、自分に引きつけて考えてもらい、4~5人でグループワークをしてもらいました。多くの児童が「ある!」と反応し、挙手も多く、場が活気あるものとなりました。その後、先に提示した二人の悩みは、「バウンダリー」の問題であると伝え、バウンダリーについて解説しました。バウンダリーを、自分と相手との間に存在する「柵」に例え、視覚的に説明したことで、とても理解が進んだようでした。そして再び冒頭の二人の悩み事に戻り、つまりバウンダリーにどのような問題が生じているのかを具体的に検討してもらったところ、子どもたちからはほぼ的確な答えが返ってきました。

さらに、「バウンダリー」を実体験してもらうために、パーソナルスペースの考え方を紹介し、実際にひもの長さで距離を体感してもらいました。相手によって安心することのできる距離が異なるということに納得、驚きの声が上がっていました。
2時限目は、自分と相手のバウンダリーを大切にするためのコミュニケーションについて取り上げました。まず、先に取り上げたファミさんとリレさんのような悩みを抱えたときに、自分だったら相手にどのような伝え方をするか、グループで話し合ってもらいました。そのうえで、まずは自分の本当の気持ちを大切にすることの意義を強調しました。そして、自分の気持ちを大切にしつつも、一方で相手の気持ちも大切にするためには、どんな伝え方があるのか、特にNOの伝え方について「攻撃的」「非主張的」「アサーティブ」の3つの伝え方を実際にデモンストレーションでやってみせ、自分が最も良いと思うものを選んでもらいました。ほとんどの子どもたちは、「アサーティブ」な伝え方を選び、のちにそこに潜むヒントを解説して伝えました。特に「私メッセージ」の大切さ、具体的な伝え方のポイントを強調しました。
また逆に、相手のバウンダリーを超えて相手に関わりたいときには、「同意」をとることがルールであることを話し、特に、はっきりした相手の「イエス」の意思表示みが本当の同意であることを強調しました。
最後に、この2時限を振り返ってポイントを復習し、授業終了となりました。
実施した感想
子どもたちへの投げかけには、ほぼ多数の挙手があり、全体に活気のある授業展開となりました。子どもたちにとって身近な事例を取り扱ったため、それぞれが当事者として考えることができたようでした。望ましいコミュニケーションの方法を身につけるところまでは至りませんでしたが、ポイントを理解し、今後の生活に活かしたいという気持ちが喚起されたようでした。
子供たちの感想
- 人との関係の授業を受けてバウンダリーという言葉を覚え、許可、同意が大切なんだなと思った。相手も自分もきずつかない言い方を覚えたから、これからの人生で生かしていきたい。
- 今までバウンダリーについて何も知らないで、私も人のバウンダリーに入ってしまったかもしれないという気持ちもあった。
- この授業でバウンダリーについて学んだのでこれからは人のバウンダリーに入るときは許可をもらうようにします。
- とても大切なことを学んでこれから大人になるとき必要なこともわかってとても考えることとかコミュニケーションなどの取り方が分かった。これからも生かしていきたい。ひととはなすときなど。
- 人は自分にちかづかれたくない人もいることが分かった。ファミさんの困りごとの塾があるのに全然帰らせてくれないことが僕も似たようなことがあったので解決策を見つけられてよかった。
- 日本の小学生のほとんど知らないことを知れてよかった。最初は知らないことでよくわからなかったけれど説明が良すぎてとても分かりやすかった。

実施基本情報
領域 | 「生きる力」を育む教育 |
教科 | 道徳 |
単元 | 5年生 「バウンダリーについて知ろう」 6年生 「感情(気持ち)とのつき合い方」 |
人数 | 5年生 120名(4クラス) 6年生 120名(4クラス) |
時間 | 5年生 90分(45分×2時限) 6年生 90分(45分×2時限) |
実施の流れ
- Step.1 お問い合わせ
- ファシリテーターまたは、運営本部であるNPO法人日本人間関係・家族関係サポート協会までお問い合わせください。
- Step.2 面談(オンラインにて)
- オンラインZOOMで面談をさせていただきます。開催時期、開催方法(リアルかオンライン)、開催時間(1時間〜)、ファシリテーターのご希望等をお聞きした後、お見積もりを送付いたします。
- Step.3 実施方法の決定
- 授業希望日や開催方法(リアルORオンライン)をもとに、ファシリテーターを決定します。
- Step.4 事前説明
- 事前説明会では、当日までの流れ、当日の進め方についてご説明いたします。 授業で使用するワークブックをお渡しします。 オンライン授業の場合は、ZOOM等のビデオ会議ツールによる接続リハーサルも行わせていただきます。
- Step.5 授業実施
- ファシリテーターが学校に伺う場合は、授業開始30分前に到着予定です。 オンライン授業の場合は、10分前に接続をさせて頂きます。 授業は1日またはご希望に応じて複数日にて実施させて頂きます。なお、教員向けのプログラムも実施しております。
併せてお気軽にお問合せください。
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